vSphere 5.1 には、Auto Deploy の次の新機能が搭載されています。
- Auto Deploy のステートレス キャッシュ – この機能を使用すると、ホストのイメージをローカルにキャッシュし、Auto Deploy を使用してホストを引き続きプロビジョニングできます。
- Auto Deploy のステートフル インストール – この機能を使用すると、完全な PXE 起動のインフラストラクチャを設定しなくてもネットワーク経由でホストをインストールできます。ネットワークの初回の起動後は、これらのホストが、ESXi がインストールされている他のホストと同様に起動します。
システム キャッシュ構成のホスト プロファイルは、ステートレス キャッシュおよびステートフル インストールをサポートしています。
- ステートレス キャッシュは、Auto Deploy インフラストラクチャを使用する場合に適しているソリューションですが、Auto Deploy サーバを使用できない場合の対策が必要です。ステートレス キャッシュのホスト プロファイル設定でプロビジョニングされたホストは、引き続き Auto Deploy でプロビジョニングされます。
- ステートフル インストールは、Auto Deploy を介したネットワーク インストールをサポートしています。初期インストールの後、ステートフル インストールのホスト プロファイル設定でプロビジョニングされたホストは、ディスクから起動されます。
システム キャッシュ構成のホスト プロファイルは、次の使用事例をサポートしています。
Auto Deploy でプロビジョニングされたホストがイメージをキャッシュする (ステートレス キャッシュ) | ステートレス キャッシュ用にホスト プロファイルを設定し、適用します。イメージは、ローカル ディスクまたは USB ドライブでキャッシュできます。このホストを引き続き Auto Deploy でプロビジョニングします。Auto Deploy サーバを使用できない場合は、ホストがキャッシュされたイメージから起動されます。 |
Auto Deploy でプロビジョニングされたホストがステートフル ホストになる | ステートフル インストール用にホスト プロファイルを設定し、適用します。Auto Deploy でホストをプロビジョニングすると、ローカル ディスクまたは USB ドライブにイメージがインストールされます。以降の起動は、ディスクから行います。ホストは Auto Deploy を使用しなくなります。 |
ステートレス キャッシュまたはステートフル インストールを正常に使用するには、システムのセットアップ方法と起動順序を決めます。
ステートレス キャッシュまたはステートフル インストールの準備
要件または決定事項 | 説明 |
VMFS (仮想マシン ファイル システム)パーティションの上書きの決定
| 対話形式のインストーラを使用して ESXi をインストールする場合、既存の VMFS データストアを上書きするかどうかを求めるプロンプトが表示されます。システム キャッシュ構成のホスト プロファイルを使用すると、チェック ボックスを選択することによって既存の VMFS パーティションを上書きできます。
USB ドライブを使用するようにホスト プロファイルを設定した場合は、チェック ボックスは使用できません。 |
可用性の高い環境が必要かどうかの決定
| ステートレス キャッシュで Auto Deploy を使用する場合、可用性の高い Auto Deploy 環境を設定することで、新しくプロビジョニングされたホストで仮想マシンを移行したり、vCenter Server が一時的に使用できなくなっても環境で vNetwork 分散スイッチをサポートしたりできます。 |
起動順序の設定
| ホストに対して指定する起動順序は、使用する機能によって異なります。 - ステートレス キャッシュで Auto Deploy を設定するには、最初にネットワークから起動し、次にディスクから起動するようにホストを構成します。Auto Deploy を使用できない場合は、キャッシュを使用してホストが起動します。
- 起動可能なディスクが現在ないホストでステートフル インストール用に Auto Deploy を設定するには、最初にディスクから起動し、次にネットワークから起動するようにホストを構成します。
注: 起動可能なイメージがディスクに現在ある場合は、PXE 起動を 1 回だけ行うようにホストを構成し、Auto Deploy でホストをプロビジョニングして、ステートフル インストールを指定するホスト プロファイルを使用します。 |
ステートレス キャッシュと接続の喪失
Auto Deploy サーバ、vCenter Server システム、またはその両方への接続が仮想マシンを実行する ESXi ホストで失われると、次回に再起動したときに制限が加えられることがあります。
- vCenter Server は使用できても Auto Deploy サーバが使用できない場合は、ホストが vCenter Server に自動的に接続されません。ホストを vCenter Server に手動で接続するか、Auto Deploy サーバが再び使用可能になるまで待ちます。
- vCenter Server と vSphere Auto Deploy の両方が動作しない場合は、vSphere Client を使用して各 ESXi ホストに接続し、各ホストに仮想マシンを割り当てることができます。
- vCenter Server を使用できない場合は、vSphere DRS が動作しません。Auto Deploy サーバは、ホストを vCenter Server システムに追加できません。vSphere Client を使用して各 ESXi ホストに接続し、各ホストに仮想マシンを割り当てることができます。
- 接続が失われている間に設定に変更を加えると、Auto Deploy サーバが停止後にリストアされた時点でこれらの変更が失われます。
ステートレス キャッシュまたはステートフル インストール用のホストの設定
ステートレス キャッシュまたはステートフル インストールで Auto Deploy を使用する場合、ホスト プロファイルを設定して適用し、起動順序を設定する必要があります。
ホストへのキャッシュを有効にするホスト プロファイルを適用すると、指定したディスクが Auto Deploy によってパーティショニングされます。その後の処理は、ホスト プロファイルの設定内容およびホスト上の起動順序の設定内容によって異なります。
- ホスト上でステートレス キャッシュを有効化 ホスト プロファイルを適用した場合、Auto Deploy はイメージをキャッシュします。再起動する必要はありません。その後再起動した場合、ホストは引き続き Auto Deploy インフラストラクチャを使用してイメージを取得します。Auto Deploy サーバが使用できない場合、ホストはキャッシュされたイメージを使用します。
- ホスト上でステートフル インストールを有効化 ホスト プロファイルの場合、Auto Deploy はイメージをインストールします。ホストを再起動すると、インストーラでプロビジョニングされた場合と同じようにホストがディスクから起動されます。以後は Auto Deploy はホストのプロビジョニングを行いません。
注: vSphere Client または vSphere Web Client からホスト プロファイルを適用できます。ホスト プロファイルを適用する Auto Deploy PowerCLI ルールを記述することもできます。
ステートレス キャッシュまたはステートフル インストールをホストに設定するワークフロー
注: 各ワークフローで、ステートレス キャッシュおよびステートフル インストールを使用できます。
ワークフロー | ステートレス キャッシュ | ステートフル インストール |
vSphere Client または vSphere Web Client からホスト プロファイルを適用 | 個々のホストまたはフォルダやクラスタ内のすべてのホストにホスト プロファイルを適用します。再起動する必要はありません。
| 個々のホストまたはフォルダやクラスタ内のすべてのホストにホスト プロファイルを適用します。再起動する必要があります。
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PowerCLI ルールを記述して適用
| 必要なキャッシュ設定を指定したホスト プロファイルで参照ホストを設定します。Auto Deploy を使用してホストをプロビジョニングし、ステートレス キャッシュ用に設定したホスト プロファイルを適用する PowerCLI ルールを記述します。再起動する必要があります。 | 必要なキャッシュ設定を指定したホスト プロファイルで参照ホストを設定します。Auto Deploy を使用してホストをプロビジョニングし、ステートレス インストール用に設定したホスト プロファイルを適用する PowerCLI ルールを記述します。再起動する必要があります。 |
vSphere Client または vSphere Web Client からのシステム キャッシュ構成ホスト プロファイルの適用参照ホストにホスト プロファイルを作成し、そのホスト プロファイルを追加ホストまたは vCenter Server のフォルダやクラスタに適用できます。
- Auto Deploy でホストをプロビジョニングし、そのホストの [システム イメージ キャッシュ構成] ホスト プロファイルを編集します。
- 1 つ以上のターゲット ホストをメンテナンス モードにし、各ホストにホスト プロファイルを適用してホストのメンテナンス モードを解除します。
- その後の処理は選択したホスト プロファイルによって異なります。
- ホスト プロファイルでステートレス キャッシュを有効にした場合、イメージがディスクにキャッシュされます。再起動する必要はありません。
- ホスト プロファイルでステートレス インストールを有効にした場合、イメージがインストールされます。再起動時に、ホストはインストールされたイメージを使用します。
- 変更内容を有効にするため、再起動する必要があります。
PowerCLI を使用したシステム キャッシュ構成の適用参照ホストにホスト プロファイルを作成し、そのホスト プロファイルをほかのターゲット ホストに適用する Auto Deploy PowerCLI ルールを記述できます。
- Auto Deployy で参照ホストをプロビジョニングし、キャッシュの形式を有効にするホスト プロファイルを作成します。
- Auto Deploy で追加ホストをプロビジョニングし、参照ホストのホスト プロファイルをそれらのホストに適用するルールを記述します。
- Auto Deploy は、新しいイメージ プロファイルを使用して各ホストをプロビジョニングします。ホスト プロファイルの適用結果は、選択したホスト プロファイル、および Auto Deploy でホストが以前にプロビジョニングされているかどうかによって異なります。
- 最初の起動と 2 回目以降の起動の比較
最初の起動 | 2 回目以降の起動 |
ステートフル インストールの場合、Auto Deploy はイメージをインストールします。 | ステートフル インストールの場合、ホストはディスクから起動されます。
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ステートレス キャッシュの場合、Auto Deploy はホストをプロビジョニングし、イメージをキャッシュします。 | ステートレス キャッシュの場合、Auto Deploy はホストをプロビジョニングします。 - ステートレス キャッシュが設定されていない状態で Auto Deploy がホストをプロビジョニングした場合、Auto Deploy はイメージをキャッシュします。
- Auto Deploy がホストをプロビジョニングした後にイメージをキャッシュした場合、Auto Deploy はルール内の情報を使用してホストをプロビジョニングします。
- Auto Deploy が使用できない場合、キャッシュされたイメージからホストが起動されます。
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